みなさんは、英語でまとまりのある分量の文書を書く機会はありますか？もしくは、英語で長文を書いてみたいけど、どんなふうに書いていいのか分からないと感じている方もいるかもしれません。本稿では、「パラグラフ」について説明し、英語で長文を書くための重要な概念をお伝えします。パラグラフを理解することで、長文を体裁の整った状態で書くことができるようになりますし、長文を読む際にも書き手の思考を追いやすくなりますのでお勧めです。パラグラフを理解せずにはアカデミック、ビジネス両方の文脈において、英語を活用できるようにはなりません。英語を何らか活用されたい方は、理解された方がよいでしょう。
英語の長文はどんなふうに構成されている？
実は、英語の長文はパラグラフが複数存在する、パラグラフの集合体として認識することができます。言い換えると、パラグラフは、文章を構成する最小単位とも捉えることができます。
パラグラフとは
パラグラフとは、センテンスの集合体です。何らかの意味のある文章は、パラグラフの集合から成っています。例えば、ニュース記事や業務マニュアル、ビジネス文書、学術論文など、幅広く様々な場面で見ることができます。また、パラグラフ内では、改行は行いません。
パラグラフの構成
パラグラフには、トピックセンテンス（もっとも主張したいアイディア）と、サポーティングセンテンス（トピックセンテンスの主張を支持する文、トピックセンテンスを詳しく説明する文）が含まれます。また、パラグラフは通常、ツリー構造に変換することができます。
文書を頂点とした場合、パラグラフ、トピックセンテンス、サポーティングセンテンスの関係はこのようになります。
パラグラフの例
何はともあれ、パラグラフの実例を見てみましょう。ここで紹介するのは、Wikipedia: Japanese language(日本語)の冒頭です。赤枠で囲っているのがパラグラフです。ここでは、４つのパラグラフで日本語について解説しています。それぞれのパラグラフでは、言語の背景情報や特徴について説明していることが見て取れます。注意して見ていただきたいのが、赤枠で囲まれているパラグラフには、改行が含まれていない点です。改行が生じた時点でパラグラフが切り替わり、次の議論に移ることが分かります。
パラグラフの効果・メリット
では続いて、パラグラフの効果やメリットについて確認しておきましょう。
パラグラフで文章を書くことで、意味のまとまりを整理しやすく・伝えやすくなります。パラグラフライティングで、分量のある文章を、まとまりの取れた体裁で書き表すことができます。
パラグラフがないことのデメリット
パラグラフがないと、読者は意味の切れ目を探しながら、場合によってはダラダラと読む必要があり不便に感じるでしょう。英語話者（英語読者）はパラグラフで読む・書くことに慣れ親しんでおり、パラグラフの構造で長文を捉えています。
書き手としても、パラグラフが無いと、意味の区切りを表現することが難しく、まとまりのある長い文を書くことが困難になります。
パラグラフの作成方法
続いて、パラグラフの作成方法を確認しておきましょう。手順は簡単で、次の通りです。
- トピックセンテンス(=もっとも主張したいこと)を決めます。
- サポーティブセンテンス(=トピックセンテンスを支持する内容、トピックセンテンスを詳しく説明する内容)を決めます。
- トピックセンテンスとサポーティブセンテンスを、ツリー構造で表現します。
- ツリー構造を、文に変換し、文と文を接続詞などでつないでいきます。
パラグラフの作成例
実務でのシナリオを想定し、製品の強みについて主張してみようと思います。
ピックセンテンス
Product X is competitive in the market.
サポーティングセンテンス
- The product provides features that our customers are looking for.
- Our competitors have not provided the features that meet customers' demand.
- The price of the product is cheaper than competitors' products.
ツリー構造
今回のトピックセンテンスとサポーティングセンテンスを、ツリー構造で図示してみます。トピックセンテンスの主張を支える（詳しく説明する）サポーティングセンテンス３つが、トピックセンテンスにぶら下がるイメージです。
パラグラフ例
Product X is competitive in the market. The product provides features that our customers are looking for. When we analyze our market, our competitors have not provided the features that meet customers' demand. In addition, the price of the product is cheaper than competitors' products. So we are confident to sell Product X more in the next quarter.
太字は、事前に準備したトピックセンテンスとサポーティングセンテンスです。ここにもやはり、改行は踏まれません。また、最後の１文に話を展開する文を加えることで、トピックセンテンスの主張を受けて次なる話の展開に備えることができています。
パラグラフを駆使して長文が書けるようになるには？
基本的にはここまで書いてきた内容を理解することでパラグラフを書くことができます。パラグラフを積み上げることで、長文も書くことができるようになります。但し、パラグラフの捉え方をより多く練習したい場合、次に紹介するオンラインリソースや書籍を活用する方法もおすすめです！
無料
オンライン上に様々なリソースが存在しますが、ここでは Purdue Online Writing Lab を紹介します。無料で網羅的に、様々なライティングに関する知見を提供しています。英語圏の大学院の講義においても活用されており、アカデミアでの信頼も高いと言えるでしょう。
On Paragraphs // Purdue Writing Lab
有料
書籍で練習量を増やしたいと感じる方には、次の書籍をお勧めします。
また、講師から直接指導してもらう方法も効果的かと思います。
まとめ
今回は、英語の長文を作成する・読みこなす上で必須概念である、パラグラフについて紹介しました。実務で英語を活用する上で、パラグラフライティング・パラグラフリーディングは必須のスキルとなりますので、これを機会に是非パラグラフの概念を掴んでいただきたいです。